【白梅学園短期大学保育科・宮崎ゼミナール】保育者を目指す学生と自然体験の意義を考える

活動紹介

保育者を目指す学生と自然体験の意義を考える

■概要

 幼少期の自然体験の多寡は、生物多様性に対する好意的な感情の高さ、自然環境への配慮行動や環境保全への専門的な働きかけにも影響を及ぼします。これは、保全科学と呼ばれる新興の学術領域における研究で明らかになってきたことです。

 しかし、特に都市部に生活圏を構える人々にとっては、自然体験の機会は減少しています。ますます悪化の一途を辿る地球規模の環境問題が山積するなか、人々の自然離れはそれらの環境問題の解決を難しくさせる可能性があります。つまり、幼少期における自然体験の機会の提供は、地球環境保全のうえで必要なプロセスであると考えることもできるでしょう。

 宮崎ゼミナールでは、保育者(幼稚園教諭や保育士)を目指す学生を対象に、特に水辺(川や海)をフィールドとした自然教育活動を実践しています。

 幼児・児童・生徒が身近な生き物に親しみ、自然への興味・関心を高められるような機会を提供することを目的として、フィールドワークを中心としたイベントを開催・サポートしています。このような自然体験イベントに、学生も運営メンバーとして携わることによって、子どもたちの言動から自然体験の意義を直接感じ取れる機会としています。

 確かに、学生は幼稚園や保育所の実習も経験しますが、このような非日常といえる水圏環境を体感する活動のなかで子どもたちの保育・介助を実践する機会に恵まれるとは限りません。また、学生自身に対しても初めての体験となることも少なからずあり、保育者の教養としても自然体験の機会の充足を図ることの重要性を考える機会となっていると思います。未経験の自然を存分に体感し、不思議さ、楽しさや美味しさといったポジティブな側面だけでなく、その怖ろしさと付き合い方も考えていけるように工夫しています。

■成果

・神奈川県立相模三川公園において、毎年夏季に「水辺の生き物観察会」を開催しています(関東学院大学人間共生学部・二宮ゼミナールとの共催)。

 公園内を流れる相模川水系の鳩川に、ペットボトルで制作したワナを仕掛けて生き物探しをしたり、たも網を使って川にすむ生き物をつかまえる。その後、屋内の施設に移動し、じっくり観察を行い、絵でスケッチを描いたり、触ってみたりする直接体験を提供。

・昨年度は、この活動に参加した学生が記入した日誌形式の振り返りシートの結果に基づいたテキストマイニングを行った。この統計解析の結果、参加した学生が子どもの介助で子どもの主体的な学びを重要視していたかことが抽出でき、自然体験は子どもの主体的な活動を促せる場であることを示すことができた。

・この他、東京都立農業高等学校神代農場における“かいぼり(掻い堀り)”をともなう保全活動(進化生物学研究所・小作明則氏との協働)なども展開。

<写真提供>
関東学院大学人間共生学部・二宮ゼミナール(撮影者:山仲 勢矢氏)
神奈川県立相模三川公園(撮影者:草野 邦弘園長)

【白梅学園短期大学保育科・宮崎ゼミナール 講師情報】
宮崎 佑介(農学博士)
・専攻分野(研究課題)保全生態学、市民科学、水圏環境教育学
・現在の研究テーマ 生物多様性保全のための市民科学
・著書 「はじめての魚類学」(オーム社 2018年) など

■URL 
白梅学園短期大学保育科・宮崎ゼミナール

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