【認定特定非営利活動法人 マイママ・セラピー】ゆりかごタクシー ~妊産婦輸送安心システム いのちをつなぐ協働リレー

活動紹介

動機は一人の妊婦さん。この子は陣痛がきたらどうやって病院へいくのだろう?

動機は一人の妊婦さんを救いたいことだった。お産を控えて「この子は陣痛がきたらどうやって病院へいくのだろう?」そんな小さな疑問が多くの方の力を借りて社会化したので報告する。

2012年春。私は焦っていた。一人の妊婦が5月にお産を迎えることで。知り合いのタクシー事業所へ駆け込み、社長相手に「陣痛が始まった妊婦さんへの対応を仕組みとして作れないかものだろうかと」相談を持ち掛けた。

できないことはないが組織として取り組めないかということで滋賀県タクシー協会の門をたたいてみた。ちょうど研修会で県内の事業所社長やドライバーさんへ「妊産婦さんを助けてください」「ただし皆さんにもメリットがあるようにしますから」と必死で提案を重ねてみた。

研修会ということもあり、近畿陸運局滋賀支局の課長も同席されており、「その話ちょっと待った!!」と待ったをかけられた次の瞬間「この話、みんなで力を合わせて事業化しよう」と提案を受けた。一瞬は「え?」っと思ったのである。なぜならみんなで力を合わせて事業化ということは希望する妊婦には間に合わないことがあきらかだったから。一応抵抗はした。

「それでは間に合わない妊婦がいる」と。しかし、多くの人が「むしろこんな支援がまだなかったことのほうがびっくりだ」と事業化に賛成方向で動き出してしまった。あれよあれよと一気に動き出した。

「産婦100人」と「タクシードライバー」にアンケートを実施

近畿陸運局滋賀支局・滋賀県タクシー協会・認定特定非営利活動法人マイママ・セラピーが事務局となり大津市民病院の助産師、医師を通して、滋賀県産科医会・滋賀県看護協会にも加わってもらい、滋賀県・大津市・消防本部が一同介して委員会を作り、「妊産婦の陣痛破水時の安心輸送システムの構築」というテーマで会議が始まった。

会議に先立ち「産婦100人」と「タクシードライバー」にアンケートを実施。妊産婦さんからは「汚したらどうしよう」「慣れていない人に送ってもらうのは怖い」ドライバーさんからは「汚されたらどうしよう」「妊産婦さん、怖いな」という2つの課題が明らかになった。この2つの課題を解決することができれば実現できるテーマであることを委員会で共有。

汚染防止用マットを用意するとともに、看護協会助産師を講師にしてオペレータとドライバーを対象にした講習会を開催。講座資料は産科医師が作成。一定の基準をクリアすることでドライバーとオペレータに加えて各事業所にも認定を渡す仕組みとなった。救急車の適正利用も含んだ仕組みではあるが、オペレータとドライバーのやり取りを通し車中分娩になりそうなときは救急車も待機してくれているという安心感なお墨付きももらい3回の会議を経て運行が始まることとなった。

多くの組織の力を借りて事業化された「ゆりかごタクシー」

2015年10月10日(語呂合わせ)滋賀県南部から始まり、2016年10月10日滋賀北部運行開始、2016年10月10日滋賀県全域での取り組みとなった。

多くの組織の力を借りて事業化された「ゆりかごタクシー」である。現在は、各市町の母子健康手帳発行時に紹介されたり、妊婦健診においても医療機関でポスター紹介されたりして滋賀県独自の取り組みとなった。自家用車で行くことが分かっていても登録可能である。

登録後は各事業所が各家庭まで下見に行き、医療機関までの確認をしてお産前後まで待機。電話がかかればお迎えに行くというシステムである。登録数は29年度滋賀県出生数の25%であったが、30年度は40%まで上昇した。今後の目標は50%を目指している。これだけ多くの組織に見守られて運行実現となったこの仕組みをもっと多くの方に知っていただければと願っている。(本事業は近畿陸運局バリアフリー推進化会議において賞をいただいた)


※写真は研修風景(現在は年1回開催。基本、滋賀県内全タクシー会社・全従業員を対象とする)

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マイママhouse
取組概要「ゆりかごタクシー ~妊産婦輸送安心システム いのちをつなぐ協働リレー」